私が認知症になったり死亡した後も、障がいのある子どもの生活支援をしたい

障がいのある子どもの将来が心配、との相談を受ける機会が多くございます。相談者様が認知症になったり死亡した後の子どもの面倒を誰が見るのか、と悩みは切実です。

障がいのある子どもに対しての生活支援はどのように出来るのか?実際の相談内容を例に解説致します。

障がいを抱えた子どもの面倒を見れなくなった際に起こりうる問題

先日、夫が既に他界した 70代の女性から「私が死んだ後の子どもの生活が心配です」と、相談を受けました。

相談者様には、長男・長女・次男の 3人の子どもがおり、長女に精神的な障がいがあるとのこと。長男・次男は遠方で暮らしており、長女の面倒を相談者様が見ている状況です。

長女は、意思判断能力はしっかりしているものの、家事など生活するうえで必要な身の回りのことができず、特にお金の管理に問題があります。

相談者様の財布から勝手にお金を抜き取って散財するなど何度かあり、このままでは万が一の時、生活していけるのか、兄弟でトラブルが起きるのではないか、誰が面倒を見てくれるのか、と不安は尽きないご様子でした。

お金の使い込みで、法定相続人とのトラブルになるケースがある

相談者様が寝たきり状態や認知症などで意思判断能力が低下もしくはなくなった場合、長女へ直接お金を渡すことが難しくなります。すると、財布の中身を勝手に抜き出したりキャッシュカードを持ち出して散財する、ということは考えられます。

もしそうなると、相談者様が亡くなって相続が発生した場合、勝手に財産を使い込んだとして他の法定相続人との争いに発展する可能性があります。

相続で財産を受け取っても管理ができない可能性がある

また、相談者様が亡くなって相続が発生した場合、長女にお金を渡す方法として「遺産分割協議により渡す方法」と「遺言書に明記しておく方法」の 2つが考えられますが、どちらの方法も相談者様の希望を反映させるには充分とは言えません。

理由として、遺産分割協議では相続人全員の話し合いが必要のため、相談者様の希望は反映されません。話し合いの結果によっては、長女が全く相続できない可能性もあります。

そして、遺言書に「長女に○○万円渡す」と明記したとしても、財産は一括でしか渡すことができないため、長女 1人では管理しきれません。

では、長女が不自由なく生活を送っていける環境を整えてあげたいという母親の想いは、どのようにすれば叶うのでしょうか。

家族信託で、障がいのある子どもに継続的な生活支援ができる

長女にとって必要なことは、生活に困らない程度のお金を定期的に渡すことであったり身の回りの生活を相談者様に代わって見てくれる人の存在だったりします。

家族信託を利用することで、これらの問題を解決することが可能です。

具体的には、相談者様の意思判断能力が無くなった場合もしくは死亡した場合に、相談者様に代わって受託者(財産を管理・処分する人)が、毎月決まった金額を定期的に渡すことができるようになります。

これにより、長女がお金を余分に使いすぎることはなくなり、必要に応じて障がい者支援施設に通う(または入居する)などすれば身の回りの生活はその施設で見てもらえるので、相談者様も安心できますし、長女にとっても幸せではないでしょうか。

家族信託では、誰が長女のお金を管理するのかという点が重要なポイントとなります。詳細を知りたい方は当協会、または家族信託の専門家へご相談くださいませ。

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